知っておきたいSilver925/シルバー925 のこととシルバーのお手入れ
メンズアクセサリーの中でも人気の高い素材である【Silver925/シルバー925】。 何気なく身に着けているこのシルバーについて、意外と知らないことが多いのではないでは? いったいシルバーとはどんな素材なのか?このページではそんなSilver925について紹介していきます。
そもそもシルバー925とは?
一般的にシルバー製のアクセサリーはこのシルバー925と呼ばれる素材であることが多く、【SV925】とも表記されていたりします。 『925』とは銀が含まれている割合(純度)のことで、これは素材の中の92.5%がシルバーであるということです。 それ以外の8.5%に関しては主に銅、その他アルミニウムなどを混ぜています。
銀はとてもやわらかい金属のため、100%銀にしてしまうとアクセサリー等、実際に使用するのに向いていません。 そのため、硬い金属である銅を混ぜることことで、硬度を出し、扱いやすい状態にしているのです。
シルバー925以外にもシルバーはあるの?
925以外にもシルバーの含有率によって種類があります。
シルバー含有率リスト
- SV1000(100%)
- SV950(95%)
- SV925(92.5%)
- SV900(90%)
- SV800(80%)
中でもシルバー1000は「純銀」「ピュアシルバー」とも呼ばれ、変色しにくくアレルギー性が非常に低いです。 また、白くやわらかい輝きを有しています。
スターリングシルバー/STERLING SILVER って何?
スターリングシルバーとはシルバー925のことです。 『STERLING』とは英語で『真正の,立派な,純粋の』という意味の言葉で、 イギリスではシルバー925が『純銀』と定められているため、含有率が92.5%でも『STERLING』という名称がついています。 ちなみにシルバー925以外でもこのような呼び名があります。
シルバーの呼び方
- SV1000(100%)⇒ ピュアシルバー(pure silver)
- SV950(95%)⇒ ブリタニア/ブルタニアシルバー(Britannia Silver)※、5分落ち
- SV925(92.5%)⇒ スターリングシルバー(Sterling SILVER)
- SV900(90%)⇒ コインシルバー(Coin SILVER)
なお、SV800をジャーマンシルバーというものと混同することがあるようですが、 ジャーマンシルバーは【洋白、洋銀、ニッケルシルバー】と呼ばれる 銅50〜61.6%+亜鉛17.2〜19%+ニッケル21.1〜30%からなる合金で、 銀は含んでおりません。
※のブリタニアシルバー(Britannia Silver)は正確には含有率95.84%となっており、 実際にはSV950よりも若干含有率が高いですね。 このシルバーは1697年〜1720年の間、イギリスでスターリングシルバー(SV925)の代用品として貨幣に使われていたことからこの名称で呼ばれています。
SV900はかつてイギリス、ドイツ以外のヨーロッパ諸国の多くが、 この割合のシルバーで銀貨を製造していたことに由来します。
ロジウムコーティング/ロジウムメッキとは?
シルバーはくすみ、黒ずみが起こってしまう金属ですが、 それを防ぎ、表面に美しい白金色の輝きを得られるコーティングが ロジウムコーティング/ロジウムメッキというものになります。 これらはプラチナコート、プラチナ仕上げともいわれる表面処理で、 表面の硬度をあげ、傷をつきにくくするとともに、白銀の美しい色に輝きを付加します。 また、表面をコーティングすることで、くすみ、黒ずみの原因となる硫化反応(詳しくは後述)を防ぐ目的もあります。 現在では多くの有名ブランドがシルバー製の商品でこのロジウムメッキを採用しています。
欠点としてはロジウムコーティングに傷が入り、はがれてしまった場合にはその部分だけシルバーが向きだ出しになってしまい、 そこだけ通常どおり変色していってしまう可能性があることです。 また、ロジウムコーティングは非常に薄くコーティングするので、 シルバークロスや研磨剤などの使用はできません。
シルバーのお手入れの方法
シルバーのくすみ/黒ずみの原因とは?
シルバーのくすみの原因はよく【酸化】だと勘違いされることが多いですが、 正しくは【硫化反応】、または【塩化反応】によって起こります。 銀は非常に酸化しにくく、酸化した場合でも酸素と銀の化合物である酸化銀は加熱することで簡単に分解してしまいます。 通常、シルバーがくすんだり黒くなってしまう場合には上記の硫化反応、または塩化反応のどちらかによってとなります。
シルバーにおこる硫化反応
シルバーがくすんでしまう多くの原因はこの【硫化反応】によるものです。 これは日常使用していても、使用しておらず放置しておいたとしても避けられない問題で、 空気中の硫化水素、あるいは水分中の二酸化硫黄などに反応して自然になってしまいます。 その他硫化反応の起こりやすい原因を下記にまとめています。
- 硫化泉の温泉、または入浴剤
- 硫化泉の温泉、または入浴剤を使用したお風呂で一気に黒ずんでしまうことがあります。必ずはずして入るようにしましょう
- パーマ液、ヘアカラー剤
- 成分にアンモニアや硫黄化合物が含まれているので、銀につくと硫化反応を起こします。
- 化粧品、シャンプー、台所洗剤
- 含まれている界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステル等)にも硫黄分があり、変色の原因になる場合があります。
- ゴム製品
- ゴム製品はゴムの伸縮性をよくするために添加されている硫黄化合物と空気中の水分が反応し、硫化ガスに変わります。 この硫化ガスが銀の変色の原因になることがあります。
もうひとつのシルバー黒ずみの原因、塩化反応
シルバーがくすんでしまうもうひとつの原因は【塩化反応】と呼ばれるものです 銀は塩素と化学反応を起こし、表面に塩化銀の皮膜を作り茶色に変色します。 塩化銀は日光に当たると変色が進むことから、銀塩写真にこの原理が使われているようです。
塩化銀は元に戻すことが非常に困難です。
この塩化銀皮膜は非常に硬く安定した物質なので、シルバークリーナーやクロスで磨いたりしても取れません。 研磨剤などを使用し、磨き、削ることで表面の塩化銀皮膜を除去していくことになります。 身の回りの下記のような原因で塩化反応を起こす場合がありますので、お気をつけください。
- 塩素系漂白剤、塩素系消毒液
- 家庭で漂白剤を使用したり、塩素系の消毒液を使用する場合はシルバー製のアクセサリーははずしてください。 塩素と反応し、塩化銀となってしまう可能性があります。
- 海水浴
- 海水にも塩素が含まれているため、塩化反応が起こる場合がございます。 ですので、海水浴を行う場合もシルバー製のアクセサリーははずしたほうが無難です。
お手入れの仕方
やわらかいコットン布、または市販のシルバー磨き専用の布でこまめに優しく手入れすることが最もお手軽な方法です。 ロジウムコーティングされている製品ややわらかい石などが使用されている製品では、 傷をつけてしまう恐れがあるので、シルバー磨き専用の布などは使用せず、 柔らかい布であくまで優しく行ってください。
アンティークのような加工が施されたシルバーアクセサリーの場合、 上述のクロスで磨いたりすることによって加工が取れてしまう場合もございます。
長期間使用しない場合には、しっかりと手入れした後、 シルバー用の保管袋があるので、それに入れ密封して保管すると変色をある程度防ぐことができます。
※ポリエチレン系の袋では気体の透過を防ぐことができないため、あまり効果を期待できません。
シルバーの硫化が進んでしまった場合にはアルミホイルの上にシルバーを置き、任意の量の重曹(炭酸水素ナトリウム)または塩と熱湯を注ぐことで、還元反応を起こすことができます。 その後、流水で洗い流し、水気をしっかりと拭いてください。 ストーンなどの装飾がもしある場合には接着剤や石などに影響が出る可能性があるので、避けたほうが無難です。
最後に
今回はシルバーについて紹介させていただきました。素材の知識を深めることによって、よりアイテムに愛着を持つことができるのではないかと思います。 それだけでなく、シルバーは上述のとおり、変質しやすいアイテムでもありますが、 上手に付き合っていくことによってずっときれいにお使いいただけるものでもあります。 また、今回はきれいにするということに着眼点を置いて紹介しておりますが、 使うことで、少しずつ変わっていき、それが味になる場合もあるとおもいます。 決して安い素材ではないので、愛着を持って長い時間大切に使用していきたいですね。
⇒当店のシルバーアイテム